オフショア法人とは、自国以外で設立された法人を指します。その多くはタックスヘイブンと言われる国や地域で設立されます。タックスヘイブンは租税回避地とも呼ばれており、税率がとても低い、あるいは無税の制度を採用している国や地域を指します。代表的な国や地域として、ケイマン諸島、パナマ、モナコ、シンガポールや香港などが有名です。日本の企業や資産家も節税を目的にタックスヘイブンでオフショア法人を設立しています。
日本の企業が、タックスヘイブンと呼ばれる地域や国にオフショア法人を設立するメリットとして一番大きいものはやはり、日本国内に比べての税負担の軽減です。オフショア法人を活用することで、タックスヘイブンの低税率または無税の環境を活用でき、日本国内の税負担を軽減することが可能になり、これにより収益の最大化が図れます。次に、タックスヘイブンでは匿名性が担保されているので、法人の実質的なオーナーの特定が難しくなります。これによりプライバシーが保護され、また資産の保護が可能になります。
しかし、日本だけでなく、国際的に見てもタックスヘイブンを利用して過度な節税を行なったり、マネーロンダリングなどの犯罪行為に利用された歴史があるため、多くの企業にとってタックスヘイブンでのオフショア法人の設立は有効な経営戦略の一つとされていますが、社会的な視点から見ると、その行為が「税逃れ」とみなされることがあり、企業の評判に悪影響を及ぼすレピュテーションリスクを伴います。特に、透明性を重視する現代の社会においては、消費者や投資家、さらには規制当局から厳しい目が向けられる可能性が高まっています。タックスヘイブンの活用が「税逃れ」とみなされる主な理由は、その制度の透明性の低さにあります。多くのタックスヘイブンでは、法人やその実質的所有者に関する情報が非公開とされることが多いため、外部からはその活動が適法かどうかを判断することが困難です。このような状況が生じることで、「企業が不正な手段を用いて税負担を不当に軽減しているのではないか」といった疑念を招くことになり、結果として企業が合法的にタックスヘイブンを利用している場合であっても、その意図が誤解され、批判の対象となるリスクが避けられません。また、これら過度な節税やマネーロンダリングなどの犯罪行為は結果的に規制強化につながっています。日本でも、タックスヘイブン特別税制が設けられていますし、その規制がさらに強化されています。さらには、OECD（経済協力開発機構）が積極的に進めているグローバル企業による税負担の回避行為を抑制し、公正で持続可能な国際税制を確立することを目的とした取り組みであるBEPSプロジェクトは、税率が低い国やタックスヘイブンを利用して利益を移転する行為によって各国の税収が減少する問題を解決するために、2013年に正式に開始されました。また100カ国以上の国が参加しているCRSでは、金融機関を通じ金融口座情報を各国の税務当局間で自動的に交換するための国際的な基準であり、経済協力開発機構（OECD）が策定しました。CRSの主な目的は、国際的な脱税行為を防ぎ、透明性の高い税務環境を構築することであり、日本も参加しています。
以上のように、タックスヘイブンの利用は企業にとって経済的なメリットをもたらす反面、社会的な批判や信頼の低下といったリスクを伴います。そのため、タックスヘイブンを戦略的に利用する場合には、事前にこれらのリスクを十分に分析し、透明性を高める努力を怠らないことが重要です。さらに、利用の正当性や社会的責任をしっかりと説明できる体制を整えることで、消費者や投資家からの信頼を損なうことなく、効果的な経営を実現することが求められます。そのためにも、オフショア法人の設立を専門とするサービスプロバイダや弁護士のアドバイスを活用しながら進める事が近道になります。専門業者であるサービスプロバイダや弁護士はその持っている情報を常にアップデートしているので、最新の情報をもとに適切な判断をしていくことが重要です。設立に関しても国や地域の提案だけでなく、設立に必要な書類のサポートもしてくれるので、最短で１週間での設立も可能な場合があります。さらに今では非常に難しくなった法人の銀行口座開設に関する情報も持ち合わせているため、必要に応じて利用出来ますし、また、タックスヘイブンでは事業の継続が比較的簡単とは言え、最小限の手続きは必要なので、継続に関するサポートもあります。このように、これら専門の事業者を戦力的に利用することが成功への1番の近道でしょう。
